Connoisseures Club -- Mar. 2004 --

OAK CASK

 

2004年3月度 コニサーズクラブ
テーマ:オーク樽
2004年3月28日 Stand Bar

テイスティングノート  山崎 白秋記

 今月のお題は、「オフィシャルボトルがシェリー樽熟成で出されている蒸留所の、オーク樽熟成のモルト」というたいへん長いお題である。
 一杯目をノージングして、フルーティー、桃の個性を感じたが、2杯目、3杯目にも同じ個性を感じ、これは同じ蒸留所だろうというのが大方のメンバーの意見だった。
  会もなかばでヒントとしてお題が明かされた、5種とも蒸留所が違うというのである。これは、これは、また前回に続きどんでん返しである。 今回のテイスティングでも、ますます蒸留所の個性というものがわからなくなってきた、毎回こんな繰り返し、モルトは奥が深いということか。
  余興としてこの5種の蒸留所のオフィシャルボトルがだされた。マッカランの香ばしさと焦げたゴム、グレンドロナックの香ばしさと醤油風味、グレンファーフラスのやさしいシェリー香と上品な酸味、ダルモアの麦芽風味と軽いシェリー、意外だったのがアバラワー、こんなにモルティーであったとは、甘味も意外と少ない。

スコッチ文化研究所名古屋支部第7回例会

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1.グレンドロナック 1974 26年 50.0% ブラッカダー

2.グランファークラス 1980 19年 57.0% ケイデンヘッズ

3.マッカラン 1980 22年 57.0% ミルロイ

4.ダルモア 1989 12年 59.9% ソサエティ13.30

5.アべラワー 1987 15年 62.1% ケイデンヘッズ

さて、本題の5本を紹介しよう。

***[NO.1] グレンドロナック  ブラッカダー 1974  26年    50%   ***

(香り)トップノートは極めてフルーティー、香りの立ちも早い。なし系のフルーツで、上品かつ繊細。ややエステリーであり、ほどよく酸味をのせている。ドライなところもなく典型的なスペイサイドのスタイルといったところか。何杯でもおかわりをしてしまいそうなモルトである。

(味)フルーティー、味の方はややドライである。日本酒の吟醸香のようなふくみ香がある。ひじょうにやさしく繊細なモルトである。


***[NO.2] グレンファーフラス  ケイデンヘッド 1980  18年   57%  ***

(香り) まず香りの立ちがきわめて遅い、しかししばらく時間がたてばNO.1とおなじ「なし系」のフルーツをかんじる。 その後の香りもほぼ同じようにきわめて上品かつ繊細な印象。さらに時がたてば、ウッディーな熟成を感じるようになる。

(味)やはり、フルーティーではあるがピリピリとしたところがあり、シャープでややドライ。


***[NO.3]マッカラン   ミルロイ    1980    23年    57%   ***

(香り)これも前の2本ときわめてよく似ている。さわやかでフルーティーであり、なしの香り。上品かつ繊細である。きらきらした酸味があるが、ミルキーな一面もみせる。 先月とおなじく、よくこれだけ同じ香りのモルトを集められたものであるといったところか。

(味) フルーティー。ややシェリーを感じる、熟成からくるものか。味の出方はやや遅いがしだいに熟成というか深みを感じるようになる。

 

***[NO.4] ダルモア    SMWS  13.30   12年    59.9%   ***

(香り)ややこげてかつまったりとした印象、グレープ系のフルーツ、奥にややひねた香り。 いがいがとした香りは軽いピートか。奥にはやや若さが見える。しばらくするとキャラメル風味。他の4本とはちょっと傾向がちがう。

(味)香ばしさをかんじる。しばらくするとシェリー樽の個性。 ぴりぴりとして「した」をさす、アルコール度数の高さゆえからだろうか。その後熟成からくる、ミルキーかつまったりとした深みを感じるようになる。

 

***[NO.5] アバラワー ケイデンヘッド 1987-2002  15年    62.1%   ***

(香り)フルーティー、フルーティー、これも、なし系のフルーツ。やや若さあるいは麦芽風味を感じる。これだけフルーティーな「なし」を揃えておいて「同じ蒸留所ではない」というのである。 ややすっぱさを感じる香り、さわやかな酸味とは別のものである。

(味) フルーティー、やや若さを感ずる。奥にはいままで感じたことのない、化粧品系の上品な味わい。エドラダワーに感じるものとは別の印象のものである。 酸味もほどほどあり、グレープ系のフルーツ。その後ミルキーな熟成を感じるようになる。

 

 


コニサーズクラブBBSより

★<タイトル>どの蒸留所のモルト?  投稿者/惹樽(管理人)  投稿日/2004年03月29日(月)13時03分

昨日のモルト会はお疲れ様でした。

オフィシャルがシェリー樽熟成で出されている蒸留所の、オーク樽熟成のボトラーズのカスクストレングスという大変ひねったテーマで、考えていた以上の盛り上がりでした。

実は、マッカランは昨年8月に、ダルモアは昨年4月に登場しているのですが、やはり分からないものですね。特にダルモアの印象が全然違うので驚きました。以前は非常にフルーティーに感じたのに、今回は他のボトルのフルーティーに埋もれてしまったようで、やはり組み合わせで味わいが違ってくるということなのでしょうね。

ここまで書いて調べて大変なことに気づきました。ダルモアは前回の印象でオーク樽だと思いこんでいたのですが、瓶詰め本数からみてシェリー樽のようです。セカンドかサードフィルでしょうが、皆さんのシェリー樽だろうという意見に間違いはなかったようで、さすがといったところです。

ということで、ダルモアを除くといずれもフルーティーで甘い印象が非常に似通っており、特に、グレンファークラスとマッカランはほとんど同じに思えてしまいました。シェリーを抜いたらが両者が同じになってしまったというのは、とても興味深い結果です。

そして、それぞれのオフィシャルが出てきたところで、さらに盛り上がりましたね。グレンドロナックは懐かしい12年ものが特別に提供されましたが、オフィシャルの方も、その差違が本当に分からなかった...

私も今回のテーマがこれだと分からず、途中まで一つの蒸留所だとばかり思っていましたが、シェリー樽熟成を「売り」にしている蒸留所の造り方は結果として似てくる、そしてオーク樽で寝かせても美味しいモルトじゃないとシェリーの個性に負けてしまうのだろうというのが結論でしょうか?