Connoisseures Club -- Mar. 2004 -- OAK CASK
テイスティングノート 山崎 白秋記 今月のお題は、「オフィシャルボトルがシェリー樽熟成で出されている蒸留所の、オーク樽熟成のモルト」というたいへん長いお題である。
さて、本題の5本を紹介しよう。 ***[NO.1] グレンドロナック ブラッカダー 1974 26年 50% *** (香り)トップノートは極めてフルーティー、香りの立ちも早い。なし系のフルーツで、上品かつ繊細。ややエステリーであり、ほどよく酸味をのせている。ドライなところもなく典型的なスペイサイドのスタイルといったところか。何杯でもおかわりをしてしまいそうなモルトである。 (味)フルーティー、味の方はややドライである。日本酒の吟醸香のようなふくみ香がある。ひじょうにやさしく繊細なモルトである。
(香り) まず香りの立ちがきわめて遅い、しかししばらく時間がたてばNO.1とおなじ「なし系」のフルーツをかんじる。 その後の香りもほぼ同じようにきわめて上品かつ繊細な印象。さらに時がたてば、ウッディーな熟成を感じるようになる。 (味)やはり、フルーティーではあるがピリピリとしたところがあり、シャープでややドライ。
(香り)これも前の2本ときわめてよく似ている。さわやかでフルーティーであり、なしの香り。上品かつ繊細である。きらきらした酸味があるが、ミルキーな一面もみせる。 先月とおなじく、よくこれだけ同じ香りのモルトを集められたものであるといったところか。 (味) フルーティー。ややシェリーを感じる、熟成からくるものか。味の出方はやや遅いがしだいに熟成というか深みを感じるようになる。
***[NO.4] ダルモア SMWS 13.30 12年 59.9% *** (香り)ややこげてかつまったりとした印象、グレープ系のフルーツ、奥にややひねた香り。 いがいがとした香りは軽いピートか。奥にはやや若さが見える。しばらくするとキャラメル風味。他の4本とはちょっと傾向がちがう。 (味)香ばしさをかんじる。しばらくするとシェリー樽の個性。 ぴりぴりとして「した」をさす、アルコール度数の高さゆえからだろうか。その後熟成からくる、ミルキーかつまったりとした深みを感じるようになる。
***[NO.5] アバラワー ケイデンヘッド 1987-2002 15年 62.1% *** (香り)フルーティー、フルーティー、これも、なし系のフルーツ。やや若さあるいは麦芽風味を感じる。これだけフルーティーな「なし」を揃えておいて「同じ蒸留所ではない」というのである。 ややすっぱさを感じる香り、さわやかな酸味とは別のものである。 (味) フルーティー、やや若さを感ずる。奥にはいままで感じたことのない、化粧品系の上品な味わい。エドラダワーに感じるものとは別の印象のものである。 酸味もほどほどあり、グレープ系のフルーツ。その後ミルキーな熟成を感じるようになる。
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★<タイトル>どの蒸留所のモルト? 投稿者/惹樽(管理人) 投稿日/2004年03月29日(月)13時03分 昨日のモルト会はお疲れ様でした。 オフィシャルがシェリー樽熟成で出されている蒸留所の、オーク樽熟成のボトラーズのカスクストレングスという大変ひねったテーマで、考えていた以上の盛り上がりでした。 実は、マッカランは昨年8月に、ダルモアは昨年4月に登場しているのですが、やはり分からないものですね。特にダルモアの印象が全然違うので驚きました。以前は非常にフルーティーに感じたのに、今回は他のボトルのフルーティーに埋もれてしまったようで、やはり組み合わせで味わいが違ってくるということなのでしょうね。 ここまで書いて調べて大変なことに気づきました。ダルモアは前回の印象でオーク樽だと思いこんでいたのですが、瓶詰め本数からみてシェリー樽のようです。セカンドかサードフィルでしょうが、皆さんのシェリー樽だろうという意見に間違いはなかったようで、さすがといったところです。 そして、それぞれのオフィシャルが出てきたところで、さらに盛り上がりましたね。グレンドロナックは懐かしい12年ものが特別に提供されましたが、オフィシャルの方も、その差違が本当に分からなかった... 私も今回のテーマがこれだと分からず、途中まで一つの蒸留所だとばかり思っていましたが、シェリー樽熟成を「売り」にしている蒸留所の造り方は結果として似てくる、そしてオーク樽で寝かせても美味しいモルトじゃないとシェリーの個性に負けてしまうのだろうというのが結論でしょうか?
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