Connoisseures Club -- May. 2004 --

ISLAY MALTS MEET SHERRY

 

2004年5月度 コニサーズクラブ
テーマ:アイラとシェリーの出逢い
2004年5月23日 Stand Bar

テイスティングノート  山崎 白秋記

 今月のお題は、「Islay malts meet sherry」である。
 惹尊さんが長い間暖めていたとっておきのテーマである。

 アイラにシェリーといえば、オフィシャルボトルでは、ボウモア、ラガブリン、ブルックラディなどが思い浮かぶが、ボトラーズものとなるとそれほどメジャーではないように思われる。 ピートにシェリー、個性のぶつかりあいとなりボトラーズとしては販売しにくいといったところか。 ピートにまけないシェリーをきかすとなると、やはりそうとうな個性派モルトになってしまうのである。

スコッチ文化研究所名古屋支部第9回例会

ボトル名をクリックするとテイスティングノートのページへジャンプ

1.アードベッグ Spirit of Scotland G&M 1993 10年 56.2%

2.ラガンミル(ラガヴリン) クーパーズチョイス 1993 10年 57.4%

3.サウンド・オブ・アイラ(カリラ) 13年 56.4%

4.ラフロイグ シグナトリー Straight from the Cask 1988 15年 55.6%

5.ポートエレン ダグラスレイン トップノッチ 1982 20年 54.9%

さて、本題の5本を紹介しよう。

***[NO.1] アードベッグ  GM スピリット・オブ・スコットランド  10年  56.2%   ***

(香り)トップノートはハイランド系のドライなフルーツ、もも系のフルーツである。その後かすかにシェリー香を感じるようになる。 熟成感もほどよく感じられる。ややアルコール臭が感じられるのは思ったより若いからだろうか。 しばらくすると、ミルクキャラメルの印象が強くなってくる。昔なつかしい森永キャラメルが思い出される。

(味)シャープでややドライな印象。反面、湿気た印象もあり、複雑である。ピートも中程度効いている。 テイスティング中には感じられなかったが、湿気た印象はシェリー樽からきていたのかもしれない。

 ピートは良く効いているがシェリーがでしゃばって来ないので、ピートとシェリーをよくバランスさせた秀逸なモルトといえる。


***[NO.2] ラガンミル(ラガブリン) クーパーズチョイス シェリーフィニッシュ  1993  10年   57.5 %  ***

(香り) まずオゾンを思わせる「なまっと」した香りがたつ。そのあと出てくる香りはひじょうに遅く、そのためライトボディと感じてしまう。 しばらくしてから、もも系のフルーツを感じるが、ややドライである。甘い香りとともに麦芽の風味も感じることが出来る。かすかなシェリー香。

(味)シャープでドライ、中程度のピート。 かすかなシェリー香のこのモルトは、首をかしげることなくアイラモルトを満喫できるであろう。


***[NO.3] サウンド・オブ・アイラ(カリラ)     13年    56.4%   ***

(香り)有機物のくさみを感じる。さらにポートあるいはシェリー香が強く香り、熟成からくる桃系の香りもここちよい。 ウッディーな香りのなかにも、華やかな印象もあり、バラエティーにとんだ香りといったところであろうか。

(味) こげたゴム、シェリー香を強く感じる、しけた含み香とイオウの個性。ピートとファーストフィルのシェリー樽のカウンターで、これを良しとするか否かは意見の分かれるところであろう。

 

***[NO.4] ラフロイグ シグナトリー ストレート・フロム・ザ・カスク  1988    15年    62.3%   ***

(香り)湿った潮の香。かすかなシェリー香、ほんとにわずかなものだ。 シャープでストレートな印象。ジンジャーの香り。

(味)ピリピリとシャープである、酸味もほどよく、つよいピートとバランスしている。ただし、ヨードあるいはクレオソートの印象が、ピートの強さのわりに少ないのは熟成のためか。

 

***[NO.5] ポートエレン ダグラスレイン トップノッチ  20年 54.9%  ***

(香り)こげた香りが強い、いおうのかおりもぷんぷんと。その後あまいシェリー香。しめった印象も強い。ファーストフィルのシェリー樽の個性ではあるが、それにしても赤いモルトである

(味) 香ばしい、あるいはこげた感じが強い。シェリー香はつよく、意外にもにがい。 酸味もほどほどきいているため、くどさは抑えられている。中程度のピート。 この個性を受け入れられる飲み手にはくせになるモルトといえよう。

 あえて、ピートを強く効かせたシェリー樽熟成のモルト。たいへん個性的ではあり、オンリーワンとはいわないが、かつて飲んだことの無いタイプである。ピートとシェリーが競合している感じが強く、熟成年数を考えるともう少し、かどのとれたモルトとしたいところではある。

 


コニサーズクラブBBSより

★<タイトル>アイラとシェリーの出逢い  投稿者/惹樽(管理人)  投稿日/2004年05月24日(月)10時39分

"Islay malts meet sherry"
このテーマだけはタイトルもずっと前から考えていました。

昨日も話したようにかなり以前から暖めてあったものです。 5本を出す順番をずいぶん悩んだようですが、私が思いつきで冗談のように言った「色の薄い順番」というのが正解だったかもしれませんね。これならばただ1本のシェリーフィニッシュもの(ラガヴリン)からもシェリー香を感じることができたかもしれません。

熟成が若い順に出した結果、最初に出てきたアードベッグ(ジャパンインポートシステム=G&M)がピート、シェリー共に強めでパンチの効いた上質のものだったので、とくに2本目のラガヴリン(ボトル表記はラガンミル)や4本目のラフロイグ(シグナトリー、ストレートフロムザカスク)はハンディを背負う結果になったのではないでしょうか?3本目のサウンドオブアイラ(カリラ)や最後のポートエレン(ダグラスレイン、トップノッチ)は個性が強いのであまり影響を受けなかったようですが。

それにしても、このポートエレンは久しぶりに飲みましたが、その真っ赤な色と言い、ピートを効かせたブランデー(?)のような味わいといい、最初に感じた「変なモルト」という印象を再確認したかたちになりました。

今回は非常にバラエティに富んだ5本になりましたが、皆さんはどのモルトを気に入られたでしょうか?私はやはりアードベッグを美味しく感じましたが、ポートエレンの「奇妙さ」も捨てがたいと思いました。


▼投稿者/ 博雅堂主人敬白  投稿日/2004年05月25日(火)22時28分

今月のMALT会を欠席したために、今日、補習を受けてきました。 1番目のARDBEG 10年 GM(Spirit of Scotland)56.2%は、ドンピシャで当たりました。 ISsayのSherry樽仕上げまでは推測できましたが、個々の蒸留所名までは残念ながら推測できませんでした。

常々IslayのSherry仕上げは成功例が少ないと思っていましたが、1番だけは数少ない成功例と思いました。 3、4、5番は残念ながら感心しません。5番に至っては勿体ないと思いました。Port Elen はそのままで充分美味しいので小細工をしなくても良いのでは?と改めて再確認。


▼投稿者/ 惹樽(管理人) 投稿日/2004年05月26日(水)9時11分

> 常々IslayのSherry仕上げは成功例が少ないと思っていましたが、

この博雅堂主人さんの見解を知っていた Stand Bar のマスターが、欠席されるということで今回のテーマに選んだのではないかと思っていたのですが、しっかり補習されたのですね。

そういうこともあるかもしれないので、HPにラインナップを載せるが早すぎかなと思わないでもなかったのですが、どうやら正解を見る前にテイスティングされたようなのでほっとしました。

> 5番に至っては勿体ないと思いました。

これは私の予想通りのコメントでした。ダグラスレインとしてはシリーズの最初に持ってくるぐらいなので自信があったのでしょうが、こうした意見の人も多いでしょうね。 正直、最初は買って失敗だったなと思いましたが、何回か飲むうちに「これはこれで美味しいと言えなくもない(微妙(^_^;)」と思うようになりました。


info-BLOG!より

★<タイトル>シェリー樽、恐るべし  投稿者/ info-Master  投稿日/2004年05月24日(月)22時32分

昨日のモルト会。
アイラのシェリー樽、シェリーフィニッシュが今回のお題。

あのピートはドコへ消えた?
ヨードチンキはホントに消毒されてしまったのか?

モルティーなファーストインプレッションから一転、
シングルカスクラムのように変貌する。
かすかにビターチョコを感じる、ほどよい甘味。

ピート、潮、ドライ。
反比例のグラフを、舌の上で書かさせられたようだ。

カリラ、美味。
買っちゃおうかな。