Connoisseures Club -- Aug. 2004 --

ISLE OF JURA

 

2004年8月度 コニサーズクラブ
テーマ:アイル・オブ・ジュラ
2004年8月22日 Stand Bar

テイスティングノート  山崎 白秋 記

 今月のお題は、「アイル・オブ・ジュラ」である。

 他の島ものモルトの人気に隠れいまひとつ話題に上らないモルトではないだろうか。例会でも登場することはきわめて稀である。

 今回のモルト、NO.1、2はスペイサイド、NO.3は南ハイランド、NO.4はハイランド、NO.5はアイラモルトの個性があり、最後まで蒸留所を当てることは出来なかった。

 さらに、ヒントにだされたオフィシャルボトルがまた戸惑いのもとであった。旧ボトルのピーティーな印象、新ボトルに変わった直後のボウモアを思わせるテイストとは違い、今回のオフィシャルボトルは若さ由来のモルティーさが強く感じられた。

スコッチ文化研究所名古屋支部第12回例会

1.ダグラスレイン Old & Rare 26年 1976-2002 54.2%

2.キングスバリー ハンドライティング 27年 56.3%

3.スコッチモルト販売 10年 1989-1999(500ml)58.7%

4.SMWS(ソサエティ)31.9 18年 60.1%

5.1999 3年(オフィシャル)60.7%

さて、本題の5本を紹介しよう。

***[NO.1] ダグラスレイン オールドアンドレア  1976-2002 26年 54.2%   ***

(香り)トップノートは甘い香りとエステル香、ほのかにシェリー香が感じられ非常に上品である。 桃やブドウの香りがやさしい。香りにいっさい刺激的なところがなく、きわめて飲みやすい。バランスのよい印象であるが没個性ともいえる。

(味)香りの印象とはうらはらに、口の中でピリピリする。ややドライ。軽くミント系の刺激がある。


***[NO.2] キングスバリー ハンドライティング  27年    56.3%  ***

(香り) トップノートは甘い香りとエステル香、シェリー香が感じられ非常に上品である。NO.1と同じトップノートであるがやや香りが濃い。 ややピート、あるいはこげた香り。その後やや酸味を感じるようになる。 さらに時間がたてば、バニラ香や、木の香がでてくる。非常に複雑な香りとなる。

(味)ウッディーかつ渋みが感じられ、長熟であること主張する。ややドライでピリピリとしている。 カラメルに近い風味が、オフィシャルボトルらしいわざとらしさを感じさせる。ただしかすかなものでいやみとは感じない。


***[NO.3] スコッチモルト販売    1989-1999   10年  58.7%  ***

(香り)いがいがとした香りが広がり、すぐさま麦芽由来のモルティーさでつつまれる。口の中がみょうにこなっぽい。かなりアルコール感も感じ、若いモルトであると思わせる。軽く酸味を感じる。 しばらくすれば、甘さとエステル香を感じるようになる。 南ハイランドモルトの印象。

(味) 非常に若さを感じる。麦芽の甘味。フィニッシュは非常に苦い。

  あとでテイスティングしたオフィシャルボトルに共通した印象である。

***[NO.4] SMWS  31.9  1983-2002    18年    60.1%  ***

(香り)こげたゴムの香り、いがいがとピートを感じる。典型的なファーストフィルのシェリー樽の個性。非常に甘く、エステル香も心地よい。 しばらくすると、焼酎や醤油の香り。やや熟成が浅いことを感じさせる。ただししめった香りはない。

(味)このモルトもピリピリ感が強い、苦味もつよく、ドライである。アルコール感が強くあまり熟成しているとは感じられない。

 

***[NO.5] オフィシャル    1999    3年    60.7%  ***

(香り)いがいがした、ややひねた、麦芽風味。その後ピートを感じたが、他のメンバーはいきなり強いピートを感じたとコメントしている。私の体調のせいかもしれない。

(味) 強いピートを感じる、ハードなピートであり、これを口に含めば、他のモルトのテイスティングが出来ないくらいであった。


コニサーズクラブBBSより

★<タイトル>モルト会 8月22日  投稿者/惹樽(管理人)  投稿日/2004年08月23日(月)9時35分

Stand Bar にて

今月のテーマは「アイル・オブ・ジュラ」でした。
恒例によりブラインドテイスティングで行われましたが、今回も難問で蒸留所名を当てることができた人はいませんでした。

1.ダグラスレイン Old & Rare 26年 1976-2002 54.2%
2.キングスバリー ハンドライティング 27年 56.3%
3.スコッチモルト販売 10年 1989-1999(500ml)58.7%
4.SMWS(ソサエティ)31.9 18年 60.1%
5.1999 3年(オフィシャル)60.7%

今回のラインナップは実にバラエティに富んでいて、熟成年数は3年から27年と実に9倍も差がありました。香り、味わいの方もバラバラで、同じ蒸留所ではないのではと思える内容でした。

Old & Rare は熟成年数にふさわしい甘い香りの上品なモルトで、味わいにはミントと苦みを感じました。

ハンドライティングは、共通した味わいは感じるものの、1.よりエステリーが強く、最初は感じられなかったシェリー香が後で出てきたりしてより複雑。

スコッチモルト販売10年は、焼酎のような若さと麦の風味を感じる、いわゆるモルティなもの。

ソサエティはすぐに分かるシェリー樽熟成もので、軽いゴム臭もあり、年数の割に若さを感じることもあり、メンバーの評価がいまいちでした。

最後の3年は「カリラ」を思わせるピーティーなモルトで、蒸留所が実験的に仕込んだものを販売したとのこと。若さをピートが上手くマスクしていて悪くないけど、ジュラの個性はどこへ?という感じ。 例によって最後にヒントのオフィシャルボトル(10年)が出てきましたが、ほとんど個性が感じられないものだったので、蒸留所名を当てたい人にとっては混乱要因にしかならなかったようです。

ジュラというと、私の第一印象はオイリーでしたが今回の5本にはあまり感じられず、レベルはかなり高いものの、蒸留所としての主張が見えないというのが今回の印象でした。