Connoisseures Club -- Sep. 2004 --

EAST HIGHLAND

 

2004年9月度 コニサーズクラブ
テーマ:東ハイランド
2004年9月19日 Stand Bar

テイスティングノート  山崎 白秋 記

 今月のお題は、「東ハイランドの5本」である。

 他の地区にくらべマイナーな蒸留所が多い東ハイランドである、この地区で5本揃えたのはほんと脱帽ものである、それも長熟ぞろいである。

  今回のモルト、ハイランドの個性は感じたが北ハイランドではないかと感じていた。まさか東で5本も揃うとは! NO.4だけは会が終わりになるころに、ギリーではないかと感じ始めてはいたのだが。

スコッチ文化研究所名古屋支部第13回例会

1.マクダフ 21年 1977.10-1999.4 The Offcial Malt Association 43%

2.ロッホサイド 1981 McIntyre(マーレイ・マクダヴィッド) 46.2%

3.ノースポート 1975-2001 26年 シグナトリー 55.6%

4.グレンギリー 1968 29年 オフィシャル 56.8%

5.グレネスク 1970-2002 31年 ダグラスレイン Old&Rare 56.9%

さて、本題の5本を紹介しよう。

***[NO.1] マクダフ  ジ オフィシャル モルト アソシエーション  1977-1999 21年 43%   ***

(香り)トップノートは桃系のフルーツ香。やや麦芽由来の穀物感を感じるが、かすかなものであり若さを感じるものではない。フルーティーかつドライな印象はハイランドモルトのものか。

(味)フルーティー。その後、カラメルっぽい甘さを感じるようになる。 味の方はドライさがあまり感じられない。

 香りではハイランドの個性が感じられたが、味ではスペイサイドに近い印象であった。


***[NO.2] ロッホサイド マッキンタイヤ(マーレイマクディビッド) 1981年    46.2%  ***

(香り)桃や梨の香り、奥にはかすかにミントの香り。バランスがとれ上品な印象。その後モルティーな香りが感じられるようになる。 ややいがいがした「けむたさ」が、北ハイランドのモルトを感じさせる。しばらくするとかなり強くモルティーな香りが立ってくる。バニラ香も感じられる。

(味)かなりドライである、ここでもモルティーさがかんじられ熟成はあまり感じられない。フィニッシュは苦味をともなう。


***[NO.3] ノースポート シグナトリー  1975-2001   26年  55.6%  ***

(香り)有機溶剤のようなエステル香がまず立ってくる。その後さわやかで、梨のようなフルーティーさにつつまれる。酸味もほどよくバランスしている。 しばらくすると、かすかに香水のような高貴な香りを感じるようになる。

(味)ピリピリと非常に硬質な味。北ハイランドの若いモルトでバーボン樽熟成のものによくある特長である。ブドウ系のフルーツ香。

 香りには熟成を感じたが、味には26年の熟成は感じられない。東ハイランドは熟成がおそいのであろうか。

***[NO.4] グレンギリー  オフィシャル  1968   29年 56.8%  ***

(香り)まず色におどろかされる、赤ワインのような色である。トップノートは非常に甘い香り、そのあとすぐさま、いがいがとした軽くピートを思わせる香りがひろがる。
 奥にシェリーを感じるがこげた印象はない。渋みもつよく、濃いブドウのかおり。複雑かつ濃厚で好き嫌いがわかれそうである。  色からは、典型的なファーストフィルのシェリー樽あるいはポート樽をイメージするが、ファーストフィルシェリーの樽の個性である、えぐみをほどよく抑え、複雑な香りをだしているところがすばらしい。

(味)非常に古い樽の印象、それもたいへん上質な樽である。渋みもつよく口に残る。ピートも強いはずであるが、樽由来の渋みや、あまみ、酸味によりそれほど強く感じることはない。熟成感もかなり感じられる。

 たいへん渋く、甘味、強いコクを感じる味わいは、これ一杯で終わってしまうようなモルトで好き嫌いははっきり分かれるはずである。これがギリーの個性であろう。

***[NO.5] グレネスク  オールド アンド レア(ダグラスレイン)1970-2002 31年  56.9%  ***

(香り)いきなり熟成を感じさせる香り、ただしこれでもかというものではなくたいへん穏やかなものである。長熟でありながら、しぶみは抑えられ、甘くやさしい香り。エステル香もほどよく、わざとらしくない程度香ってくる。
 長熟でありながら、押し出しが強くないところが良くも悪くもバランスがよいといえる。

(味) 味はドライで味の数が少なく、香りほど長熟とは感じられない。ただし渋みにより熟成を感じることとなる。ピリピリと口ではじけるところもあり、香りと味でちぐはぐな印象をもつ。


コニサーズクラブBBSより

★<タイトル>昨夜のモルト会  投稿者/惹樽(管理人)  投稿日/2004年09月20日(月)17時26分

いや〜、完璧にやられました。東ハイランドの5本。

1.マクダフ 21年 1977.10-1999.4 43% The Offcial Malt Association
2.ロッホサイド 1981 46.2% McIntyre(マーレイ・マクダヴィッド)
3.ノースポート 1975-2001 26年 55.6% シグナトリー
4.グレンギリー 1968 29年 56.8% オフィシャル
5.グレネスク 1970-2002 31年 56.9% ダグラスレイン Old&Rare

マクダフは甘いトップノートの後にモルティーが出てきて、味は甘さと 軽くビター。わずかにピート感があるのでハイランドのモルトだろうと感じた。

ロッホサイドの香りはこもりがちで、古い家のなかのような印象。 味はぴりぴりとスパイシーでややカラメルも感じた。時間が経過すると いわゆる「開いた」状態になり、香りに上品な甘さが出てきて、 ぐっと美味しくなった。

ノースポートも最初の香りは細く、ややフルーツが感じられるぐらい。 味は麦芽感が強くモルティー。甘みが強いがスパイシーもあり凝縮感が高い。

グレンギリーはまず真っ赤に近い色に驚く。こげくささ、シェリー、カラメル、 ピートが絡み合い、この蒸留所のシェリーものの典型と思われた (ラベルにはホグスヘッドの表記)。 味も渋みやスパイス、タバコ、カラメルと、はっきり言えばかなりくどい。

グレンエスクは出来の良いハイランドモルトのお手本のようなグッドバランスな もので、美味しいけれど特徴を上げるのが極めて難しいもの。

最初からハイランドだろうとは思ったけれど、さすがに東ハイランドとは 思いませんでした。地区で集めたと聞いて消去法で残り、 4.がグレンギリーだと分かりほぼ確信できましたが。 ギリー以外はほとんど飲む機会がない蒸留所なので、貴重な体験ができました。

全体としての印象は北ハイランドのそれに近いものがありましたが、 比べるとややクラシカルな感じを受けました。 それにしてもよくこれだけのレベルのものが集まったものです。脱帽!