Connoisseures Club -- Nov. 2004 --

HIGHLAND PARK

 

2004年11月度 コニサーズクラブ
テーマ:ハイランドパーク
2004年11月28日 Stand Bar

テイスティングノート  山崎 白秋 記

 今月のお題は、北の巨人「ハイランドパーク」である。 いつもこのノ−トを見ていただいてる方ならお気づきと思うが、今年2度目のハイランドパークである。

 今回のテイスティングは、ハイランドパークの汚名返上の思いを掛けて、スタンドバーのマスターがもくろんだテーマらしい。というのも今年2月のテイスティングノートを見ていただきたい、これほどのビッグネームで長熟を含むカスクストレングスでありながら、テイスティングノートはかんばしくない。 テイスティングを終えたところで、テイスティングのメモをみるとまたしても評価はかんばしくない。5本あわせて、100年オーバーと聞いてメンバーからもマイナーな意見が多かった。  種明かしのあと、今年2月のかんばしくない評価の件をマスターから聞いて正直意外であった。

 ハイランドパークを10本飲んで、この評価。たいへん考えさせられるテイスティングであった。そんなことで、会が終盤になっても蒸留所の正解はだれからもでなかったのである。

スコッチ文化研究所名古屋支部第15回例会

1.キングスバリー ケルティック 22y 1981 52.9%

2シグナトリー ヴィンテージ 24y 1977 56.8%

3.ダグラスレイン Old&Rare 28y 1974-2002 56.8%

4.モダンマスターズ 1982 57.1%

5.マッキンタイア 13y 1988 62.3%

さて、本題の5本を紹介しよう。

***[NO.1] キングスバリー ケルティック  バーボンカスク 1981   22年   52.9%  ***

(香り)トップノートは上品なフルーツ香、ライトボディ。個性の弱い印象はリフィルオーク熟成のものか。ややいがいがしている、軽いピート香なのであろうか。 しばらくするとハッカあるいはミントの香りがしてくる。さらに時間がたてばキャラメルの印象が強くなる。

(味)まず軽くピートを感じる、ほどなくやってくるほどよい酸味。 ピリピリと刺す印象が強い。やや甘味を感ずる。香りはライトだが、味はミディアムである。


***[NO.2] シグナトリー ヴィンテージ  1977-2001   24年   56.8%  ***

(香り)硬い香り、あるいは金属的な香りである。硬質な香りからくる若さを感じる。甘い香り、ややひねた香りがある。軽いピート香。ハイランドモルトの若い、バーボン樽熟成の個性。

(味)やはり、若さを感じる。ぴりぴり舌をさす。アルコール感も強い。ツンと硬い印象。


***[NO.3] ダグラスレイン  オールドアンドレア 1974-2002 28年 56.8%  ***

(香り)きわめて上品な香りで、奥に高貴な香水を感ずる。酸味がありバランスが良い。 軽くウッディーで熟成を感じるが、長塾感は強いものでは無い。 その後、熟成香は成長してくる、さらにバニラの香りが強く出てくる。

(味)香りは複雑でミディアムであったが、味はライトである。さまざまなフルーツの個性、ただしクライヌリッシュほどの華やかさではない。 やや酸味を感じる。軽いピート。

***[NO.4] モダンマスターズ    1982     20年    57.1%  ***

(香り)トップノートはいがいがした、軽いピートの香り。やや焦げた印象。奥にはキャラメルを感じる。時間がたてばようやくウッディーな熟成香が出てくるが軽いものである。

(味)桃系のフルーツ香。味の数が少ない。ピリピリとしたアルコールの強さを感じる。

***[NO.5] マッキンタイア  1988    13年     62.3%  ***

(香り)いがいがした軽いピート香、やや焦げた印象はNO.4と同質のものである。かすかに酸味を感じる。酸味により上品さを感じる。 しばらくするとキャラメル香が立ってくる。

(味) ひねたふくみ香。若さあるいはグレーンウイスキーの味わい。金属的な味、ハイランドモルトの若いものによくあるタイプ。全体的には荒い感じである。

 

 軽いピートを感じるところ、時間がたてばキャラメル香が香るところが共通しており、同一の蒸留所と感じたが、まさかハイランドパークとは、またしても驚きの5本であった。


コニサーズクラブBBSより

★<タイトル>ハイランドパーク?  投稿者/惹樽(管理人)  投稿日/2004年12月01日(水)14時01分

先月のモルト会は変な盛り上がり方でしたね。ブラインドをやるとああいうことが起こるから面白い。最初から「ハイランドパーク」というビッグネームを聞いていたら、あそこまでボロボロになることはなかったでしょう。

オフィシャルが必ずシェリーを使っている訳が分かったという感じですが、ノン・シェリーのマッカランが高評価だったのと対照的な結果になりましたね。

▼投稿者/ 博雅堂主人  投稿日/2004年12月03日(金)19時32分

>ブラインドをやるとああいうことが起こるから面白い

全く同感です。先入観を持たずに素の状態で感じると、結構本質が浮き出てくるもんです。

音楽でも多くがこの様なからくりで、有名アーチストに作り上げられています。大して上手でも無い演奏者が音楽雑誌やマスコミの一部に持ち上げられてしまうと、多くの聴衆が勝手に名演奏家として認識し始め、お客が大勢つめかけることに・・・

企業はイメージ戦略として様々な先入観を我々に押し付けて来ます。惑わされずに自分の判断を素直にするのはブラインドなしでは難しいですね。

でも、時間というフィルターは結構正直だと思います。時代を乗り越えて来た物は必ず支持があるはずですから。

初めにハイランドパークと聞かされていたら、僕でも「やはり島物の特徴が出てるよね!」などと言い出すことでしょう。