Connoisseures Club -- Mar. 2005 -- CAOL ILA
テイスティングノート 山崎 白秋記 今月のお題は、「カリラ」である。カリラといえばシャープで強いピートの個性を思い浮かべるであろう。ところが今回の5本はそんな印象がなく、やや重く潮っぽくピートも中程度の効かせかたであった。 5本共通して「からい」ところがカリラたる姿であろうか。これさえも最近テイストしたカリラは甘い印象のものが多く、正解にたどり着くまでに、7蒸留所の名前をリストアップした次第である。 これだからブラインドテイストは面白い、既成観念にとらわれない客観的なテイスティングが出来るのである。
さて、今回の5本を紹介しよう。 ***[NO.1] キングスバリー ハンドライティング 27年 59.7% *** (香り)つんとシャープな香り。軽くエステリーでさわやかな印象。ところがしだいに潮っぽくなる。軽い熟成と枯れた印象があり、熟成を予感させる。 (味)「からい」味わいで甘さが少ない。軽いピート、ハイランドモルトの個性と感じる。 時間とともになまっと重く感じるようになり、華やかさが消えていく。
(香り) 香りの立ちが遅く、グラスを手で暖めることになる。しだいにエステリーな香りと潮っぽい香りで満たされる。 なまっと重く感じるようになるところはNO.1と共通である。湿った煙たさが強い。 (味)北ハイランド系の硬質なあじわい。こちらもからい、ピートも中程度感じる。1時間ほどしてから熟成を感じるという、実にスロースターターである。
(香り)細身でクールで洗練された香り。ミントの香りもあり爽やかである。酸味も心地よい。 潮っぽい香りは強いが、酸味がほどよくバランスしている。 しだいにバニラ香が強くなり、バーボン樽の個性と感じる。やや化粧品香も香る。 (味) フルーティーでドライである。ぴりぴりと口を刺す。ややひねたフィニッシュ。
***[NO.4] SMWS 53.59 1983 19年 53.6% *** (香り)さわやか、かつフルーティー。あざやかで明るいイメージ、しかし潮っぽくもある。まろやかな系のエステリーにつつまれる。 非常によくできたエステリーではあるが、まんまと騙されているようでもある。しかし素直に騙されていいと思う。その後甘い香りが強く出てくる。 (味)フルーティーでエステリー、しかし辛くピーティー。文武両道といったところか。非常によくできたモルトである。
***[NO.5] ウィルソン アンド モーガン 1980-1998 18年 58.2% *** (香り)軽い化粧品香がボウモアを思わせる、この香りは時間とともに消滅していく。しだいにキャラメル香が強くなり、潮っぽさも香ってくる。さらに軽いシェリー香も奥に感じるようになる。 (味) やや若い。味わいは辛く、ピーティーであるが中程度のピートである。にがみが心地よい。味にもボウモアを思わせるパフュームは感じられる。
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▼投稿者/ 惹樽(管理人) 2005年04月13日(水)17時21分 今回は、もう1年以上たっていることは間違いないけど、いつから寝かせてあったか分からないぐらい前に私が持ち込んだ「長熟のカリラってどうよ?」といったテーマでしたが、まさかカリラの名前がなかなか出てこないとは思っていませんでした。 実はここに登場しなかったボトルがまだあります。それは今回のものより相当にスモーキーだったと記憶していますので、入っていれば早く分かったかもしれません。 「カリラ=若くてスモーキー」という皆さんの思いこみに一石を投じられたということで、思った以上の成功という結果になりました。 |
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