Connoisseures Club -- Jul. 2005 -- GLENFARCLAS
テイスティングノート 山崎 白秋記 今月のお題は、「グレンファークラス」である。シェリー樽熟成のモルトではマッカランと双璧といわれる蒸留所である。 1杯目はなかなか品がよく、できのよいハイランドモルトかな、といった印象であった。2杯目ではやや濃い目のゴールドで、バーボン樽の印象と軽いシェリー樽の香りで、味が特すばらしいモルトであった。そして3杯目からは真っ赤である。 こうなると拒否反応を示すメンバーがかなりいるのだが、今回は様相が違っていた。真っ赤なほどシェリー樽、あるいはポート、ワイン樽に漬けられているにもかかわらず、こげたゴムの香りや味は少なく、極めて上品かつドライなのである。 最後までスペイサイドモルトとは結びつかなかった次第である。種明かしの前に、熟成年数を5本トータルすれば171年と聞いてびっくり、前代未聞の会となった。 ラベルを明かされてテイストしていれば、褒めちぎりのことばが飛び交ったであろうが、うはならないのがブラインドテイスティングと言いたいところだが、さすがに今回のモルトは出来のよいものばかりで、ブラインドでもほめ言葉が多く語られていた。
さて、今回の5本を紹介しよう。 ***[NO.1] SMWS グレンファークラス 1.117 1966-2004 37年 50.2% *** (香り)上品なフルーツ香、ハイランド系のややドライな香り。桃の香りが爽やかである。 その後、軽いエステリーな熟成香を堪能できる。ミディアムボディ。かすかに麦芽風味、だが若いといった印象ではない。 (味) ピリピリとドライ。やや硬質なフルーツ。味はやや単調である。
(香り) トップノートはエステリーで爽やかな酸味が香る。シャープであるがすばらしくフルーティー。実に深い香り。やや湿った印象がある。 しばらくするとキャラメル香と、さらにバタースカッチの甘い香り。実にまったりとして心地よい。 (味)ややひねている。1960年代に樽詰された、独特の木の含み香の印象。ドライでありながら極めて味の数が多く、渋みと深みがすばらしい。 いままでテスティングした中でもトップクラスの味。
(香り)真っ赤な色に圧倒される。トップノートはすばらしくエステリー。青リンゴ系のフルーツ香も心地よい。真っ赤な色のモルトによくある焦げ臭さは無い。 爽やか、かつウッディーな熟成香がすばらしい。香りの数は極めて多く、書き尽くすことは不可能。やや香ばしい香りと甘い香りに包まれ極上の時を過ごすことができる。 (味) 香りほどの複雑さは感じられないが、極めて上質な熟成感である。木々に包まれ至福の時に我を忘れる。
***[NO.4] SMWS グレンファークラス 1.106 1966-2004 33年 53.5% *** (香り)これも真っ赤な色に圧倒される。ややこげた香りを感じる。しかし爽やかなエステリーと程よい酸味でくどさは感じない。ドライかつ深々とした香り。 (味)味はさすがにシェリー樽の個性が強い。熟成ととるか、くどさととるか判断の分かれるところであるが、個人的にはこの香ばしさはきらいではない。 ***[NO.5] SMWS グレンファークラス 1.82 1966-2004 27年 56% *** (香り)トップノートは軽いエステル香。しだい甘い熟成香が立ってくる、それとバランスするように酸味が非常に心地よい。 しばらくすると醤油の香りがわずかに感じられる。 (味) アルコール感はやや強い。複雑なフルーツ味、何種類ものフルーツを味わうことができる。基本的にはドライでピリピリしており、フィニシュは特別長い方では無い。
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★<タイトル>グレンファークラス、熟成は平均34年! ▼投稿者/ 惹樽(管理人) 2005年07月25日(月)23時53分 昨夜のコニサーズクラブのテーマはグレンファークラスでした。しかも、すべてThe Scotch Malt Whisky Societyのボトル、27年が1本でそれ以外の4本は33年以上の長期熟成ばかり、熟成年数を合計すると171年になるという超豪華版。 1.117 37y 1966-2004 50.2% 実は全部私のボトルだったのですが、ブラインド・テイスティングではオマケとしてオフィシャル12年 43%が出されても正体が分からず、さらに同じソサエティの 1.81 27y 1970-1998 55.6% が出てきたところでようやく分かったというていたらくでした(1.81 はグリーン・ファークラスと呼ばれた文字通り緑色のウイスキーです)。 言い訳をすれば、117、110、100は試飲会で1回テイスティングしただけで、106を飲むのは初めて、82も多分3年ぶりぐらいで、オフィシャル12年も初めて飲んだからということになります。また117はオーク樽熟成で、非常にハイランド的なモルト、110はおそらくリフィル・シェリー樽熟成、他の3本は真っ赤な色をしているもののシェリーの影響は薄く、どれも非常にドライでした。 ファークラスはシェリー樽熟成のスペイサイド・モルトの「マッカラン」と並ぶ代表格ですが、そういえばマッカランのオーク樽長期熟成ものも117に似たテイストでした。しかしマッカランをシェリー樽で長期熟成させると「こってり」になるように思いますが、これがすっきりドライでしかも味わい深いモルトに仕上がるところがファークラスの実力ということでしょう。 いずれにしても、自分の持っているボトルの素晴らしさを再確認でき、出席者の皆さんにも楽しんでいただけたということで、昨夜は大満足でした。
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