Connoisseures Club -- Jan. 2006 --

IMPERIAL

 

2006年1月度 コニサーズクラブ
テーマ:インペリアル
2006年1月22日 Stand Bar

テイスティングノート  山崎 白秋記

 今月のお題は、「インペリアル」である。新年早々からなんともレアな蒸留所であろうか。過去のテイスティングメモを見返してもGMの1979-1995とサマローリの1979-2000 45%をテイスティングしたのみである。

 インペリアルはスペイサイドのど真ん中、緑に包まれたところに立地しているのだが、テイスティングをしてみれば、ヌカの香りあるいは潮の香りを感じることが多く、海に面した蒸留所を思い浮かべる。いかに環境条件等のスペックがあてにならないかを証明している事例ではないだろうか。

 印象としてはピートを抜いたアードベッグといったところか。もちろんあまり評判がよくなかったころのアードベッグである。

 

★スコッチ文化研究所名古屋支部第29回例会

1.サマローリ 1979-2000  21年 45%

2.ロッホデール  22年 45.1%

3.ミルロイブラザーズ  16年  1982-1998 50%

4.ダンカンテイラー ピアレスコレクション 1982-2004 52.8%

5.シグナトリー 21年 1976-2005 28年 58.1%

さて、今回の5本を紹介しよう。

***[NO.1] サマローリ インペリアル  1979-2000  21年   45%   ***

(香り) トップノートは上品でさわやか。かすかにミントが香る。砂糖水を感じさせる香りでややライト。
  しばらくすれば潮っぽい香りもでてくる。ヌカあるいはたくあんの香りも感じられるが、酸味があり嫌味ではない。
  フランスの白ワインの印象もある。

(味) 薄味、フルーティー。ややひねたフィニッシュ。ドライであり、味わいに物足りなさ感じる。


***[NO.2] ロッホデール インペリアル  オーク  22年  45.1%   ***

(香り) トップノートはたくあんの香り。古く、湿気た印象でずいぶん古い蒸留年かと感じる。
 奥には梨系のフルーツが香る。ややドライでハイランドモルトの個性。
  ピートが効いていないアードベッグと言うことも出来る。

(味) 軽くフルーティー、かすかにピートが効いている。味の数は少なく、フィニッシュは短い。


***[NO.3] ミルロイブラザーズ  インペリアル 16年  1982-1998  50%   ***

(香り) トップノートはこげたゴムならぬ、燃えたゴムの臭い、よい印象ではない。
 その後、いやな香りは影をひそめる。代わりに砂糖水の香り、さらに潮を感じさせる湿った香りが顔を出す。

(味) 口に含むとまず酸味を感じる、その後それとバランスするようにまったりとした深みでつつまれる。
  フルーツとして、梨ややリンゴをかんじとることができる。フルーティーではあるがドライでもある。

***[NO.4] ダンカンテイラー  ピアレスコレクション インペリアル オーク 1982-2004  52.8%   ***

(香り)香りのたちが遅い。しだいに上品かつエレガントな香りが広がる。さらにナッツやキャラメル系の熟成香に満たされる。
  長熟のリフィルバーボンであろうか。酸味もほどよくバランスしている。
  じつに甘く立ちこめ、寒い冬にはやさしく癒してくれるモルトである。

(味) ほどよい熟成感。酸味が心地よく甘さがあとを追っかける。ウッディーで香り、味ともによくできたモルトである。
  ややアルコール感が強いところが残念。

***[NO.5] シグナトリー インペリアル リフィルバット 1976-2005 28年 58.1%   ***

(香り) やや湿気た印象。しばらくすれば酸味が心地よく香る。さらに注意深くすれば花のような香りも感じ取れる。
  モルトが室温になじんでくると、甘い香りやバニラの個性が開いてくる。

(味) まず辛いとかんじる、ドライである。アルコール感が強く、口に含むとジンとする。
  香りが秀逸なだけに味はもうすこし深みがほしい。