Connoisseures Club -- Jul. 2006 -- TALISKER
テイスティングノート 山崎 白秋記 今月のお題は、「タリスカー」である。 通の間ではハードなモルトで通っているタリスカーではあるが今回も「が、しかし」である。 5本のノージングを終えての印象は、モルトごとにたいへん香りがバラエティで八方美人的と感じた。ハイランドパークやポートエレンのようにモルトのデパート的な印象であり、タリスカーとは思ってもみなかった。
さて、今回の5本を紹介しよう。 ***[NO.1] ザ ウイスキーフェア タリンバーグ 1992-2005 23年 49.5% *** (香り) トップノートはフルーティーかつエステリー。しばらくすればエレガントな熟成香がひろがる。軽いピートあるいは、いがいがしたものを感じる。 (味) まず感じるのは甘さである、単調な味わいからアルコール感が強い。
(香り) くさみや、酸化した印象が強い。まったりとして、しっかりとしたボディである。しだいにエステリーな爽やかさが感じられるようになってくる。 さらに軽いピートも香る。軽く麦芽風味もあり熟成感は少ない。 (味) 味はドライである。軽くピートが効いており単調な味を引き締めている。
(香り) 甘い香りが広がる、熟成感を伴うエステリーな香りがすばらしい。さらに酸味が効いており、ボディに厚みをくわえるまったり感とバランスしている。 さらに時間が経てばキャラメル香も出てきて、複雑な香りのすばらしいモルトと感じた。 (味) フルーティーでのみ易い。軽くピートを効かせて引き締まった味わいとなっている。熟成感も申し分ない。 ***[NO.4] シールダイグ アイルサクレイグ 1984-2005 cask no.769 21年 58.5% *** (香り) トップノートはフルーティーかつエステリー。深みもありビッグボディ、かすかに胡麻の香り。 軽いピートのアクセント、しだいにすばらしい熟成を感じるようになる。さらにバニラも感じられバラエティーなモルトである。 (味) ウッディーな熟成感と軽いピート。からくはあるが深いあじわいである。しかしよくあじわえば甘さもかんじられる不思議なモルトである。 ***[NO.5] SMWS 14.10 15年 1989-2004 59.4% *** (香り) トップノートはピート。さらにたくあんを思わせるくさみをかんじる。しかし酸味がほどよく、奥にエステリー感もあり嫌味なモルトではけっしてない。 (味) やはりピートとたくあんであり、さらに酸化したあじわいも感じる。
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★<タイトル> タリスカーは甘かった… ▼投稿者/ 惹樽(管理人) 2006年 07月24日 15:13 昨夜のコニサーズクラブ(モルト会)のテーマはタリスカーでした。 ディアジオのブランド戦略から、3番のオフィシャルボトル以外に「タリスカー」と表記されていません。 最初のタリンブルグはドイツのリンブルグ・ウイスキー・フェア向けにボトリングされたもの。甘いトップノート+軽いピート香で、ハイランドだと思い込んでしまいました。 ダグラスレインが「トップノッチ(最高級)」と銘打った2番は、ここのボトルには珍しく香りがこもっていましたが、ピートと甘さがバランスした味は気に入りました。 3番のオフィシャル25年はウッディ、ピート、甘さが香りに混じりあい、味わいもこれらがうまく絡み合った素晴らしいモルト。 4番、アイルサ・クレイグは上品なピート香とこってりした味わいで、これも上出来。 最後のソサエティ14.10は、最初にたくわんのような香りで若さを感じましたが、その奥には秘めた実力が感じられました。 ビッグネームのタリスカーは、最も個性的なモルトのひとつと言われますが、ブラインドテイスティングではすぐには分かりません。メンバーはオフィシャル10年が特別提供されても首を傾げるばかりで、最後にTが頭文字というヒントが出るまで名前が出てきませんでした。 実は私の持ち込みネタ(2番以外の4本、すべて未開封)だったのですが、気づくのにずいぶん時間がかかってしまいました。1番にハイランド的な華やかな香りをあったのと、共通して甘い味を感じたので、イメージが狂ってしまったようです。 本やらネットやらで調べても、タリスカーといえばたいていは「舌の上ではじける」なんて書いてあって、「甘い」とは書いてない。文字情報の影響力は強力なんだと改めて認識しました。
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