コニサーズクラブのページへ

英国フェア2003 テイスティングノート

   2003.11.13 阪急デパート梅田店 

 大阪、梅田の英国フェアにいってきました。

 わさのクレイゲラヒホテルのバーマンのマーク ワッツとお話できました、難しい話は通訳の女性を通してですけど。モルトに対する愛情が深く感じられるモルト野郎でした。

 一仕事のあとは、私のうしろでゲレングラッサや、マッカランのグレンレゼルバなんかをあおっていました。 カウンターの向こうでサービスしていたのは、T商店のO氏でした。 クレイゲラヒホテルの雰囲気すこし味わえた気分です。

  まぼろしのレディーバーンやクライゲラキ・ホテルスペシャルのグレンフィディックなどもテイスティングでき、すばらしいひと時を過ごすことができました。

(山崎白秋

 
  

テイスティングノート

山崎白秋 記

 

 今回のめだまは、あのまぼろしのモルト、レディーバーンである。それもシングルカスクの樽だしである。今後もう飲む機会はないかもしれないと思うと感慨無量であった。

 さらにクレイゲラヒホテルオリジナルのグレンフィディックもテイスティングできたのである。 そこにきてバーマンはクレイゲラヒホテルのマーク・ワッツである。モルトのテイスティング講座などもあり、気分はもうスペイサイドのクレイゲラヒホテルであった。

 今回気になる5本ランダムにオーダーしテイスティングした。

★★★[No.1]レディーバーン 27年 1973-2000 50.4% ★★★

(オフィシャルボトル) Bottle no.54 Cask no.4467

【香り】ほのかなリンゴやぶどうの香り。カスクストレングスであること、熟成年数を考えるとかなりライトである。軽い熟成も感じるが、ふっと香っては奥にひっこんでしまうようなものである。

麦芽由来の甘味に軽い酸味でバランスが保たれている。1時間くらいすると、軽い麦の香りがしてくる。

【味】フルーティーかつドライ。さまざまなフルーツを感じることができるが華やかなものではなく落ち着いたもので、熟成のピークをすぎているかもしれないと思わせる。 軽くピートをかんじることができ、フィニッシュを引き締めている。

期待が大きすぎたのは確かではあるが、なんらかの個性がほしかったのは事実である。


★★★[No.2グレンフィディック クレイゲラヒホテルオリジナル 1982-2003 21年 58.7% ★★★

(オフィシャルボトル)Bottle no. 217 Cask no.3672

【香り】オーク樽熟成由来の深みのある熟成香が感じられる。かなり重い香りである。オークのホッグスヘッド樽と思われるが、奥にはシェリー香も感じられる。これが隠し味となり軽いエステル香とともに絶妙の深みを感じさせる。 時間とともに熟成香が深くなってくるが、つくられたカラメルの甘さの香りも出てくる。ピートの個性なのか、いがいがとしたものを感じる。

【味】柑橘系フルーツの味、とんがったシャープな果実である。非常にシャープでドライである。かるくピートが感じられるが隠し味程度のものである。 時間とともにグレープフルーツ系酸味の味が現れるようになり、最初の印象より熟成感が後退してくる。

クレイゲラヒホテルの看板モルトであり、非常によい香りで、味にもオフィシャルのグレンフィディックにはないボディを感じさせてくれる。

 

 

★★★[No.3]グレンリベット セラーコレクション 1983-2003  46% ★★★

(オフィシャルボトル) フレンチオークフィニッシュ

【香り】まようことなきグレンリベットのフルーツ香とでも言おうか、フルーツのお祭り。ただしボディはライト、20年の熟成はかんじられない。

時間とともに熟成が深くかんじられるようになる。ナッツ、エステルのかおりもわずかにかんじられる。いがいにドライである。

【味】なし、もも、ぶどう、りんごと味の方もフルーツのデパートといえよう。ややピートを感じ、フルーツを感じさせながらドライな印象。加水すれば、さらにフルーティーさが際立ってくる。

 


★★★[No.4スプリングバンク 175周年記念ボトル 12年 46% ★★★

(オフィシャルボトル)

【香り】オーク樽由来のナッツ系の熟成香が感じられる、その奥に隠れて上品なシェリー香があり非常にうまい香りのバランスが取られている。

このシェリー香はこげたゴム系の香りがいっさいなく上質な香りである、リフィルシェリーでのフィニッシュであろうか。 その後、軽いピート香と程よい酸味をともない、さらにバニラ香もかんじることとなる。バーボン樽の個性なのか。

樽についてマークに聞いてみたところ、シェリー樽60%、バーボン樽40%とのことであった。

【味】洋なし系のフルーツ。シャープでドライ。酸味もほどよく効いている。軽いピートなのか いがいがした印象。その後グレープフルーツの味がのってくる。

女性向きのモルトの香水と評される、いままでのオフィシャルにかんじられる特徴は終わりをつげ、スプリングバンク本来の個性に戻ってきたのであろうか。 私としては「女性向きのモルトの香水」の特徴をもったスプリングバンクが好きであったのだが。


★★★[No.5]グレンモーレンジ 25年  43% ★★★

(オフィシャルボトル)

【香り】ライトで甘い香り、熟成からくるエステル香の奥にわずかなシェリー香が感じられる。時間とともに熟成香は深くなり、25年の年月を主張してくるようになる。バニラ香もほのかにかんじられる。

これもシェリー樽の個性がかんじられるが、とマークに聞いてみたが、これはバーボン樽100%とのこと、こちらの問いにすかさず返してくるところは、やはりただものではない。

【味】口の中にタンニンを思わせるようなしぶみの口当たりを感じさせる。熟成由来のひねた樽の個性(いい意味でのひねである)いがいがした風味もありわずかにピートをたいているのかもしれない。