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山崎蒸留所原酒テイスティングツアー

テイスティングノート  山崎 白秋記

 山崎蒸留所を訪れるのはこれで3回目である。過去2回、きっとうまいモルトが山崎にはあるという大きな期待とともに足を運んだのであるが、満足できるモルトを試飲できる機会はなかったのである。
 今回3度目の正直というわけではないが、サントリーで募集していた「原酒テイスティングツアー」に申し込んで、蒸留所にコニサーズクラブの精鋭5人?と行って来た次第である。
  さて結論からいえば、やはり山崎にはほんとにすばらしいモルトが眠っていたのである。
 とくにミズナラ(水楢)樽熟成の42年ものは、これだけの時をへてなおパンチのある飲みくち、さらにアルコール度数も63.1%というすごさで、天使には分け前がなかったようである。

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1.バーボン樽 1989 13y 54%

2.スモーキー(バーボン樽) 1989 9y 62.9%

3. シェリー樽(オロロソ) 1980 22y 48.5%

4. ミズナラ樽 1960 42y 63.1%

 さて、今回の4本を紹介しよう。なお、今回のテイスティングしたモルトは、本来の樽からツアーのために小型の樽に移し変えられており、樽からガラス製のスポイド?(なんてよばれるのかは不明)により、メスシリンダーに取り出され、メジャーによりテイステンググラスにサービスされた。

***[NO.1] バーボン樽 1989 13年 54.0%   ***

(香り)香りの立ちがかなりはやい、エステル香がすぐさま飛び込んでくる、バーボン樽の個性の典型といえよう。13年のわりに熟成が速いのは山崎の個性かバーボン樽の個性か? その後、フルーツ香をともなう甘い香りが強くなってくる。香りはやや単純である。

(味) やはり単調である、香りほどの熟成はかんじられない。かすかにブレンデッドを連想させるかるい風味をともなう。

 

***[NO.2] スモーキー(バーボン樽) 1993 9年 62.9%   ***

(香り) ピート香は中程度。その後バーボン樽由来のエステリーな香りがたってくる。ピートとエステリーのデュエットはいままでテイスティングしたことがなく、新たな個性として受け入れられるものと思う。
ピートとバーボン樽の組み合わせといえば、ラフロイグが思い浮かぶが、にて否なるものである。こちらはピート香がとがっており、エステル香がつよい。単調ではあるがビッグなボディといえよう。

(味) 間違いなくピーティー。エステル香もここちよい、軽い酸味がこのモルトのバランスをととのえている。9年熟成以上のモルトとかんじた。

 

***[NO.3]  シェリー樽(オロロソ) 1980 22年 48.5%   ***

(香り)長期熟成由来のエステル香がすばらしい、さらにやや強めのシェリー香。ただし、焦げたゴム臭は強くなく、上品に仕上がっている。 こってりとはしているがくどくはないところがすばらしい。その後バニラ香がただよう。

(味) 瞬時に広がるシェリー、わずかな甘味、意外にもややドライ。口の奥にややぴりぴりと感じる。

 

ここまでの3本どれも香りのたちが、極めてはやいのが特徴。樽から出したばかりのせいなのか?

 

***[NO.4]  ミズナラ樽 1960 42年 63.1%   ***

(香り) トップノートは有機溶剤MEK(エチルメチルケトン)のようなかおり。その後1960年代のモルトのよくある、古くかび臭いような木の香り。ただし、いい意味での古さである。
しだいに木の香りはさらにひらいてきて、いままで経験したことのない香りとなってくる、 樹液の香りもしてくる、さらに長熟からくるナッツの香りも。 この香りはサントリーでは伽羅の香りと称しているが、残念ながら私は伽羅の香りを嗅いだことが無いので、関連付けることができなかったことが残念である。

(味) エステリーと古い木の香りのコンビネーションがすばらしい。熟成香は申し分ない。 木の渋みも心地よい。アルコール度数は63.1%あるのだが、アルコールのツンとした強さをいっさい感じられないところが驚きである。


 


コニサーズクラブBBSより

★<タイトル>山崎蒸留所原酒テイスティングツアー 投稿者/惹樽 投稿日/2003年08月24日(日)1時05分

モルト会のメンバー5人で行ってきました。 JRの青春18きっぷを使い、普通列車で名古屋・京都を往復しましたので、交通費を含めても4杯のモルトは割安だったと思います。

多分、里帰り(?)した山崎白秋さんから詳しくレポートしてもらえると思いますが、 なんと42年もの(1960年蒸留)のカスクが出てきてびっくり。ジャパニーズオーク(ミズナラ)樽熟成で、しかもアルコール度数は63.1%!!

おそらくは樽からもたらされた非常にユニークなアロマ(伽羅の香りという説明に納得)と熟成年数を全く感じさせないパワフルでフレッシュな味わい。まさに驚異のモルトでした。

わずか2,000円の参加費で貴重なモルトをテイスティングさせてくれたサントリーの太っ腹にも感心しましたが(毎回こんなものが出てくるのかな?)もし発売するとしたらいくらになるんでしょう?カスクではない25年が80,000円ということは...

▼▼投稿者/ 博雅堂主人 投稿日/2003年08月24日(日)10時50分

40名ほどの参加者に紛れても我がMALT会のメンバーは存在感有る発言及び行動を示していました。 22年熟成のシェリー樽仕上げもかなりの物でしたが、42年水楢仕上げには脱帽物で、これならSocietyに加えられてもむべなるかな、と思いました。
全部で4種類のMALTを樽から汲み出し試飲させてもらえ、このような貴重な原酒を飲めて、最後の一滴、残り香まで惜しみつつ楽しんだ我々。でも後ろの席の他の参加者のグラスには、一口飲んだだけで残してしまっている人たちのなんと多かったことか!もったいない!!!会場を後にするMALT会メンバーのため息がこだましていましたよ。ホント

▼投稿者/ 山崎白秋 投稿日/2003年08月26日(火)22時57分

さすがサントリー、これだけの設備、豊富な人材、潤沢な資本を投入して「うまいモルトが出来ないはずが無い」と前から思っていたが、やはりこんなすばらしいモルトを隠していたじゃないですか(笑)。 今後、すばしいモルトはバッティングされたり、ブレンドされたりしていくのは忍びない思いで帰って来ました。

▼投稿者/ harazaki 投稿日/2003年08月28日(木)23時33分

>*** [NO.4] ミズナラ樽 1960 42年 63.1% ***

今、販売されている山崎蒸留所80周年記念ボトルにブレンドされているもののようですね。(ボトルの裏ラベルに「パンチョン樽の山崎モルト15年を厳選しミズナラ樽の40年ものを加えました。」と表示されています。

できれば、山崎蒸留所原酒テイスティングツアーに参加したかった!

次回は、白州、余市、仙台、御殿場、軽井沢・・・ 。そのときは声をかけてください。