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SMWS試飲会 テイスティングノート

   2003.5.11 BAR BARNSにて

山崎白秋記  

 

 ★★★ [NO.1] 61.13    ブローラ  24年      56.0%  ★★★

 

【香り】トップノートはピート香からくるものなのか、ややいがいがしたしぶさがある。そのあと上品なフルーツ香、さらに熟成香が顔を出してくるが、24年熟成としては弱いのかもしれない。


【味】多種のフルーツに強めの酸味が感じられる。ピートもアイラモルトほどではないが、はっきりと感じるくらいにきいている。


 フルーツ、酸味、ピートの三拍子がブローラの個性であろうか。一本でたくさんの個性を楽しむことができるところが、モルト飲みの間での人気の秘密であろうか。このモルトは、元気がよくまだまだ熟成の途中にあるように感じられ、あと5年寝かした後飲んでみたいものである。

 

 

 ★★★ [NO.2]  53.62  カリラ   20年      58.1%  ★★★


【香り】ビーフジャーキー、ピートの香りが強烈にはいってくる。ヨードの香りも強い。あきらかにアイラモルトであると主張している。

【味】強烈なピートである、しぶみもつよいがピートにかくれている。

 20年の熟成を経てなおこのピートの個性、カリラおそるべし。ピート好きにはたまらないモルトである。

 


 ★★★ [NO.3]  3.75   ボウモア  12年     59.9%  ★★★

【香り】この蒸留所にしては、強めのピートがまず飛び込んでくる。奥にフルーツ香がかんじられるが、ボウモアを特長づけるフローラルな石鹸香はない。このモルトをブラインドでテイスティングして、ボウモアとあてるのは難しいであろう。

【味】ピートはやはり強い、いままでテイスティングしたボウモアのなかで、もっともピートをきかせている一本である。

 このモルトの特徴は、ここ10年近く続いているボウモアの個性、よくいわれるフローラルな石鹸の個性がないことである。それ以前、旧タイプのボウモアの味に近いものであり、旧タイプのボウモアはよかったといわれるモルト飲みの方にぜひのんでいただきたいモルトである。

 

 ★★★[NO.4]  90.5  ピティヴェアック(ピティバイク)10年 59.4% ★★★

【香り】トップノートはアルコールが強くツンと鼻をつくが、しばらくグラスをふっているうちに非常にここちよい木の香りがかおってくる。ファーストフィルのオーク樽であろうか、日本的なひのきの香りの印象もある。(注:ソサエティーのテイスティングノートには、リフィルバーボン樽と表記)その後甘い香り、ナッツ系の熟成香もでてきて、10年以上の熟成を感じる。

【味】フレッシュなフルーツの味がひろがるが、その後ウッディ、ナッティな熟成をかんずるようになる。たいへん質のよい樽で熟成されたのであろうか、とても10年ものとは思えない。

 樽のかおりを満喫できるこのモルトは、たいへんいやされるお酒である。

 

 

 ★★★ [NO.5]   24.68   マッカラン   13年    60.2%    ★★★

【香り】意外にもしめった生臭さをかんじる。マッカラン特有のこげたゴムの香りはなく、かすかに奥のほうにシェリーを感じ取れる程度である。オーク樽、あるいはバーボン樽で熟成したのち、シェリー樽で短期間フィニッシュしたようである。その後フルーティーな香りがでてくるが、マッカランにしてはライトなモルトである。(注:ソサエティーのテイスティングノートには、ファーストフィルのシェリー樽と表記)

【味】ハイランドモルト系のフルーツの印象であろうか、スペイサイドのモルトとしては、かなりドライである。その奥には、オッフィシャルボトルではシェリーに隠れていたピートが顔をだしてくる。意外にも、マッカランはピートを焚いているのであろう。

 マッカランからシェリー樽熟成を取り去った、「素」のマッカランがここにある。

 

★★★ [NO.6]   19.31   グレンギリー    16年    56.9%    ★★★

【香り】トップノートはフルーツ香、さらにハチミツ系のふくよかな香り。ボディはミディアムである。その後しぶみ、あるいはいがいがの個性を感じる、軽いピート香なのかもしれない。

【味】意外に感じるのは、ボウモアを特徴づけるフローラルな石鹸の味がこのモルトにあることである。この個性はボウモアのみのものと思っていのだが。

 モリソンボウモアがサントリーに買収されてから、モリソンボウモア所有のグレンギリー、オーヘントッシャンにボウモアの個性が感じられるようになってきた。

★★★ [NO.6]   20.17   インバリーブン    23年    57.1   ★★★

【香り】なまっとした、しめった香りがまずただよう。とがったところはない、悪くいえばこしがなく、熟成の峠をすぎてしまったかな、とおもわせる。ただし上品な香りではある。さらに、甘い砂糖水の印象もある。

 今回テイスティングしたモルトなかでは飛びぬけた個性をもっており、モルト愛好家は一本所有しておきたいモルトといえる。仲間の間でも、評価のわかれるモルトであった。                

【味】香りから受ける印象ほど甘くはなく、けっこうドライである。ただし味は単純ともいえる。