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SMWS日本支部設立10周年記念

ジャパニーズ ウイスキー蒸留所コードNo.119 & 120認定イベント

   2003.9.20 サントリー山崎蒸留所

 スコッチ・モルト・ウイスキー・ソサエティ(SMWS)は20年前にスコットランドのエジンバラで設立され、これまでに数多くのシングルカスクのモルトをボトリングし、会員向けに販売してきたが、昨年からはNIKKAの余市蒸留所やアイルランドのクーリー蒸留所のモルトをボトリングするなど、「スコッチ」にこだわらない姿勢を見せている。

 そして今回、初の海外支部として10年前に設立された日本支部の周年を記念するような形で、サントリーの2つの蒸留所からボトリングされることになった。奇しくも今年は山崎蒸留所の80周年と白州蒸留所の30周年でもある。

 我々コニサーズクラブの面々も4名が名古屋から京都(大阪?)まで足を運び参加した。SMWS本部からリチャード・ゴードン会長、サントリーのチーフブレンダー輿水精一氏の話も興味深いものだった。

 例によって山崎白秋氏がテイスティングノートを寄せてくれたので、写真と合わせてご覧下さい。

(惹樽) 

 
  

テイスティングノート

山崎白秋 記

 

 ★★★ [NO.1] 山崎蒸留所80周年記念 ウイスキー   43%  ★★★

 

【香り】まず深い熟成を感じる、ナッツ、アーモンド、まったりとした温かみを感じさせる香り。その後ミズナラ樽由来の伽羅の香りがかすかに感じられ、さらに甘いバニラの香りもしてくる。43%の度数を考えるとすばらしく香りの立ちのよいモルトといえよう。


【味】ドライでややフルーティー、古い樽の個性はミズナラからくるものであろう。香りほど深いあじわいはないが、熟成感は十分である。

 

すでに完売しているが、サントリーとしては非常にレベルの高いかつ安価なモルトである。


 

 ★★★ [NO.2]  39.42 リンクウッド   12年   58.2%  ★★★


【香り】バタースカッチの甘い香りがすぐさま感じられる。やや若い印象はあるが、キャラメル系の香りがそれを隠している。加水するとバジルの香りも感じられ、なかなか個性的なモルトである。

【味】こげて、いがいがした味。ひねた、あるいはしぶみが強い印象である。香りほど複雑さはないが、個性的ではある。

 


 ★★★ [NO.3]  119.8   山崎   11年    62.5%  ★★★

【香り】こげたゴムの香り、典型的なオロロソのシェリー樽の香りである。しかしシェリーの効かせかたが秀逸で、くどくなく上品に仕上がっている。香りの立ち方もむせるような、包み込まれるような、深い感じがある。かすかにピートも感じられる。

【味】こげたゴム、シェリー樽の味。香りとは違い意外にもドライである、さらに口の中で、ぴりぴりとした辛味が感じられる。シェリーを十分に感じさせながら、11年の熟成でこれだけ上品に仕上げられたところはかなり上質な樽を使っているのか。
 

 ★★★ [NO.4]  8.33   タムデュー   16年   55.6% ★★★

【香り】甘い香りがまず立ってくる、そのあと中程度の焦げたゴム、シェリー樽の香り。軽くピートの香りあるいは「いがいが」とした印象。

【味】やはりシェリー樽由来のこげたゴムの印象。ただし熟成をともない上品に仕上がっている。ピートからくるものなのか、ピリピリとしたを刺すからみを感じる。全体的にはドライである。

 ★★★ [NO.]  120.1   白州    21年   60.7%    ★★★

【香り】トップノートは熟成からくるエステル香、ミズナラ樽ではあるがバーボン樽の個性も感じられる。さらに花のような華やかな、かつきれいな香り。 奥にはやはりミズナラ樽由来の伽羅の香りを感じることが出来る。

【味】味もやはりミズナラ樽の個性を感じずにはいられない、昔の、古い、渋いそんな個性である、輿水チーフブレンダーのことばを借りれば「神社、仏閣の香り」である。

 60年代蒸留のスペイサイドモルトにも、にたような香りのするものもあるが、伽羅を連想させるこの香りは、このモルト独特のものである。

 ★★★ [NO.6]  53.66   カリラ   13年   58.7%  ★★★

【香り】乾いたバニラ香のあとシャープなピート香につつまれることになる。さらに複雑な、古い、ひねた香りを感じる。湿った、暗いところで静かに寝かされていたそんな印象であろうか。

【味】強いピートを感じる、ストレートなものではなくやや複雑なピート香の印象。あとの119.4とは対照的に、まずピートをかんじたあとにエステリーの印象を感じる。
 

 ★★★ [NO.7]  119.4   山崎   10年   58.1%  ★★★

【香り】とんがったピート香、さらにバーボン樽由来の強めのエステル香を感じる。奥には線香の香りも感じることができる。ピート香はストレートで単純であるが、エスエル香がそれを補ってバランスをとっている。

【味】強いピート香。やや若さをかんじるが、湿って、ひねた印象もある。ピートが強いが意外にも甘い。53.66とは対照的に先にエステル香を感じたあと、ピートを感じることになる。