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裏モルト会(04年5月)
2004年5月4日 K氏宅にて

コニサーズクラブ BBS より

▼タイトル/ 裏モルト会(04/5/4) 投稿者/惹樽(管理人) 投稿日/ 2004年05月05日(水)11時45分

昨夜はモルト会メンバー8人がKさん宅に集合して、裏モルト会が開催されました。

それぞれが持ち寄ったボトルは都合18本(内ミニボトル2本)。申し合わせたわけではないのに日本のモルト、山崎が3本と余市が2本集まりました。特に山崎は3人がそれぞれ15年以上前のピュアモルト7年表示のオールドボトル(harazakiさん)、蒸留所限定販売のボトル(山崎白秋さん)、インターネット限定販売のカスク(博雅堂主人さん)というヴァラエティに富んだ顔ぶれ。またWassyさんには、ソサエティ116.2とスコ文研会員向けのみに販売された土屋守スペシャルカスクヴァッテリングという貴重な余市を2種類提供していただきました。

同じくWassyさんから、総ボトリング数が100本以下というソサエティのインチガワー、18.20(35年)、山崎白秋さんには、スプリングバンクのオフィシャル30年ミニボトル、私が提供したのはソサエティが3本セットで販売している100mlボトルのうちの1本、グレンファークラス1.101(25年)、これ以外のボトルも希少なものが多く、そうそうは飲めないボトルがずらりと並んだところは正に壮観。

またアイラがカリラとボウモア各1本のみと少なかったというのも面白かったですね。正にモルト会の面目躍如といったところでしょう。ボトルリストとテイスティングノートは山崎白秋さんに書いていただけると思いますのでお楽しみに。

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裏モルトの会、テイスティングノート

2004.5.4 HK氏宅にて 山崎白秋記 

 18種のモルトが集まり、テイスティングも耐久レースの様相を呈してきている。そんなことで正確なテイスティングとはいい難いところはご容赦願いたい。

 ※テイスティングノートの順番を写真に合わせて並べ替えてありますので、文章の前後関係がおかしくなっているかもしれません(惹樽)

malt blog より写真を転載

 ※ボトル名をクリックするとテイスティングノートへジャンプ

偶然に集まった5本のレアなジャパニーズ・モルト。

左から

1.山崎 樽出原酒 10年  57%
 蒸留所の売店でのみ発売されている限定品。

2.SUNTORY PURE MALT WHISKY AGED 7 YEARS 43%
 約15年前のオールドボトルで山崎の原酒が主体のヴァッティングとのこと。

3.THE CASK OF YAMAZAKI 1993-2003  10年 57%
  インターネット限定販売のピートを効かせたボトル。

4.スコッチ文化研究所オリジナルボトル 余市 10年 63.4%
 スコッチ文化研究所の会員のみに販売されたもの。

5.SMWS 116.2(余市) 11年  61.0%
  電話予約開始10分足らずで売り切れた、これも貴重な1本。




バラエティに富んだ13本のスコッチ・モルト。

左から

6.リンクウッド UDV レアモルト 26年 56.1%

7.ボウモア アバディーン 12年 59%

8.フェッターケーン ジェイムズ・マッカーサー 10年 60.5%

9.グレングラント 21年(オフィシャル) 40%

10.ローズバンク マーレイ・マクデヴィッド 8年 46%

11.オルトモア ザ・ゴールデン・カスク 13年 56.1%

12.カリラ ウイルソン&モーガン 12年 46%

13.クライヌリッシュ BBR 30年 43%

14.モートラック アデルフィー 11年 59.7%

15.リンクウッド アデルフィー 17年 64.2%

16.SMWS 18.20(インチガワー) 35年  68.1%

ミニボトル左から

17.SMWS 1.101(グレン・ファークラス)25年 52.1% 100ml

18.スプリングバンク 30年(オフィシャル) 46% 50ml


*** [No.1] 山崎   樽出原酒   10年    57%  ***

(香り) テステリーかつフルーティー。非常にさわやかな香り。ウッディー熟成香があり深みのある香り。

(味)フルーティー、味はややライト。ピリピリ感はあるが熟成感も中程度ある。

わたしのボトルであるが、開封して飲んだときはさしたる印象のないモルトであった。時を置いてあらためて飲んでみると10年以上の熟成を感じるモルトであった。


*** [No.2] SUNTORY PURE MALT WHISKY AGED 7 YEARS 43% ***

(香り) まったりとした熟成感がある。醤油を思わせる香り、軽くフルーティー。

(味)フルーティー、甘さはひかえめ。ややいがいがしている、ピート由来のものか。

7年でこの熟成感がだせるのは、サントリーマジックであろうか。


*** [No.3] THE CASK OF YAMAZAKI 1993-2003  10年  57% ***

(香り) 強いピート香。ウッディーな熟成香、さらに甘い香り。

(味)やはり強いピート、酸味もバランスしており、よく出来たモルト。ボディも十分。

ブラインドでは、ラフロイグと思ったほどアイラものに近い。サントリー恐るべし。 エステル香が強くなく、サントリーとは思わなかった。


*** [No.4] スコッチ文化研究所オリジナルボトル 余市 10年  63.4% ***

(香り)華やかでエステリー、熟れたなしの香り。度数からくるアルコールの刺激とピート香。熟成感も大きい。ビッグボディ。

(味)強いピートを感じるが、アイラものより軽いものである。ヨード香も軽い。やや甘く少しの若さも感じるところである。

今回も月例会と同じようにブラインドテイスティングをしている。このモルトは山崎のピーテッドと確信していたが、はずしてしまった。


*** [No.5] ソサエティ(SMWS) 116.2(余市) 11年  61.0% ***

(香り)香りの立ちが速い、エステリーで熟成感がある。しょうゆの印象と、軽いシェリー香。わかりやすいがやや単純。

(味)熟成感は大きい。ウッディで木の香りに満たされる。ややピートを感じる。

このモルトも、ピートが弱くニッカの宮城峡と確信していたが、はずしてしまった次第である。


*** [No.6] リンクウッド UDV レアモルト 26年 56.1% ***

(香り)まずエステリーな熟成感をかんじる。しかし爽やかさを併せ持っている。なし系のフルーツ香。

(味)フルーティー。軽いシェリー香を感じられるが、シャープな印象。非常にバランスがよく何杯でもいけるタイプのモルトである。


*** [No.7] ボウモア アバディーン 12年 59% ***

(香り)中程度の熟成感がある。フルーティーでフレッシュ、ややツンと硬い香り。軽いピート香。熟成とフレッシュが両立しており、なかなかできが良い。

(味)中程度のピート香、ぴりぴりと舌を刺す。やや若さを感じる。

ボウモアの個性であるフローラルな石鹸香がきわめて少ないボウモアである。


*** [No.8] フェッターケーン ジェイムズ・マッカーサー 10年 60.5% ***

(香り)ひねた香り。「発酵」した液体の印象。アルコール臭が強い。焼酎を感じさせる香り。甘い砂糖水の香り。

(味)若さを強く感じる。モルティーで甘い、単純な味。

ある意味オールドフェッターケンの個性を強く感じるが、もう少し旨みや爽やかさがほしい。


*** [No.9] グレングラント 21年(オフィシャル) 40% ***

(香り)紙くさい。いわゆる、ぬれたダンボールであろうか。ライトボディ。

(味)ライトである。砂糖水の甘さ。21年分の熟成感がほしいところである。


*** [No.10] ローズバンク マーレイ・マクデヴィッド 8年 46%  ***

(香り)若い。ライトボディ。砂糖水の香り。

(味)やはりライトである。甘さがあるがドライ、味の数が少ない。


*** [No.11] オルトモア ザ・ゴールデン・カスク 13年 56.1% ***

(香り)なし系のフルーツが爽やか、フレッシュでドライ。しだいにしめった印象もでてくるところが不思議である。

(味)しょっぱい、意外にもピートを中程度効かせている。味の数が少ない。甘い印象。


*** [No.12] カリラ ウイルソン&モーガン 12年 46%  ***

(香り)ピートが強い、かなりシャープな香り。やや若さを感じる。ヨード香は弱い。

(味)ピートはやはり強い。意外にも甘い。度数のわりにピリピリと舌を刺す。


*** [No.13] クライヌリッシュ BBR 30年 43% ***

(香り)いきなりかおる熟成香、ウッディーでエステリー。長熟のシェリー香。すぐに熟成しているなと感じさせるモルトである。奥には軽いピートが感じられる。さらに花の香りも感じられる。

(味)ツンと硬いかおり、フルーティー。やや甘いが、ピリピリとしている。ややひねた味。軽いピート香がある。


*** [No.14] モートラック アデルフィー 11年 59.7%  ***

(香り)ライトボディー。さわやかなフルーツ香。

(味)砂糖水の甘味、麦芽風味。若さがあり、ぴりぴり舌をさす。


*** [No.15] リンクウッド アデルフィー 17年 64.2% ***

(香り)濃い味を連想させる香り、熟成感とは違うものだ。まったりとしていて「さわやかな」と対極にあたるものである。

(味)アルコールの強さからくるものなのか、口の中がピリピリする。酸味があり度数のわりに飲みやすい。


*** [No.16] SMWS 18.20(インチガワー) 35年  68.1%  ***

(香り)熟成感が強い。エステリーかつウッディー、バーボン樽の個性であろうか。しばらくすると渋みも感じられ、複雑な香りである。

(味)エステリー。渋み成分が強い、アルコールの強さからくるものなのか、口の中がピリピリする。しかしけっして飲みにくいのもではない。


*** [No.17] SMWS 1.101(グレン・ファークラス)25年 52.1% 100ml  ***

(香り)トップノートは意外にも麦芽の香り、香ばしいかおり。軽いピート香。奥に熟成香がある。 その後、エステリーな熟成香に満たされてくる。上品で複雑な香り。

(味)フルーティーでやさしい。なし系のフルーツ。味もあとから複雑さがでてくる。


*** [No.18] スプリングバンク 30年(オフィシャル) 46% 50ml  ***

(香り)いきなりかおる熟成香、ウッディーでエステリー。長熟のシェリー香。すぐに熟成しているなと感じさせるモルトである。 奥には軽いピートが感じられる。 さらに花の香りも感じられる。

(味)ウッディーな熟成感がすばらしい、シェリー樽由来のややこげた印象。意外にも甘い、ピート感もやや感じられる。

 

コニサーズクラブ BBS より(冒頭の書き込みへの返信)

▼投稿者/ harazaki  投稿日/2004年05月05日(水)23時50分

みなさん、お疲れさまでした。
それにしてもこれだけの様々なボトルが並びましたね。

自分で持ち込んだボトルの評価が自宅で飲んだときの印象と皆さんのテイスティングした際の感想が乖離しており、改めて自分のテイスティングが飲む環境に流されているなと認識した次第です。やはりブラインドで飲むとテイスティングに集中できますね。自分もそろそろテイスティングのベンチマークを見つけなければ。クライヌリッシュ、ダルモア、プルトニー、クラガンモア、ニッカ系は何となく自信があるのですが、シェリー系、強烈なスモーキーはどうも強烈なモノに引っ張られて細かな違いが見えてこない状態です。

私が持参したのは、次の3本でした。

オルトモア(ゴールデンカスク 1989 14年 56%
ボウモア(アバディーン 12年 59%)
サントリーピュアモルトウイスキー7年(43% ウイスキー特級、従価、88年以前に流通したボトル)

印象に残っているボトルは、スプリングバンク(オフィシャル、30年、46%)山崎10年カスク(インターネット限定)リンクウッド(レアモルト)等でした。

機会があれば、近いうちにまた裏モルト会もやりたいですね。


▼投稿者/ 惹樽(管理人) 投稿日/2004年05月06日(木)0時04分

スプリングバンクはさすがに素晴らしい熟成モルトでした。私が印象に残ったのは、やはりこれとリンクウッド(UDVレアモルト)、そして CASK OF YAMAZAKI です。この山崎はアイラにしか思えませんでした(脱帽)。


▼投稿者/ 博雅堂主人  投稿日/2004年05月06日(木)0時30分

裏MALT会は茶道の裏表千家をも、もじったのですが、表MALT会に劣らない強力別バージョンの参会でした。

種類が足らず表のテーマに載せられないが、我がメンバー達の満を持しての隠し玉のボトル持ち寄りなので、本当に壮観でした。

しかもどれ一つダブらないのが凄い!いかに入手先がバラエティーに富んでいるかがお分かりになるでしょう。皆、メンバーが驚くような、或いは持っていないボトルがどっかに無いものだろうかと、虎視眈々と狙っているもんだと改めて感心至極。

次回はいつ開催されるかは分かりませんが楽しみですなー。


▼投稿者/ 惹樽(管理人) [HOME]  投稿日/2004年05月06日(木)13時54分

最初の書き込みに山崎が3本と書きましたが、オールドボトルは harazaki さんが書いていらっしゃるように「SUNTORY PURE MALT WHISKY AGED 7 YEARS」の表示でしたので訂正します。山崎が中心だとは思いますが、もしかしたらスコッチもヴァッテイングされている?


▼投稿者/ harazaki  投稿日/2004年05月06日(木)14時49分

サントリーピュアモルトウイスキー 7年(ブラックラベル)ですが、ボトルに付属していたリーフレットがありましたので、ご参考まで。

山崎蒸留所の7年以上のシングルモルト(カスクバッティングしたもので加水調整)のようですが、「山崎のモルト原酒が主体」と書かれているので、バッテットかもしれません。

ちなみに昭和60年からこのボトルは限定販売されており、ブラックラベル(山崎のモルト主体)とホワイトラベル(白州のモルト主体)がありました。それぞれラベルの蒸留所のイラストが描かれています。

ニッカのピュアモルトの方は、ブラックラベルは余市、ホワイトラベルはアイラモルト(蒸留所名は不明)、レッドラベルは仙台が中心として販売されていました。

−−−−−−−−ここから引用−−−−−−−−−
ピュアモルトウイスキーは樽のモルト原酒どうしをヴァッティングして、そのままボトルに満たしたモルト原酒100%のウイスキー。グレーン原酒を一滴もブレンドしていません。(略) 日本で最古のモルトウイスキー蒸留所「山崎ディスティラリー」のモルト原酒が主体です。モルトは、最低でも7年貯蔵。ピュアモルトと呼ぶにふさわしい熟成原酒を7年以上の樽から選び抜き、バッティングしました。 ・風味の特徴  ほどよくスモーキーで、モルティー(穀物の旨そう)な香りは、ピートを焚きしめた上質なモルト(麦芽)に由来します。  また、熟成感が豊かで重厚な芳香をもち、ボディーもややヘビー。力強く充実した味わいのピュアモルトウイスキーです。
−−−−−−−−−ここまで−−−−−−−−−−

サントリーピュアモルト7年ホワイトラベル(白州)、山崎(年数表示がないもの、特級、760ml ラベルは12年とほぼ同じもの)も手元にありますので機会がありましたら提供します。