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オフィシャル新旧ボトル比較テイスティング(05年8月)
2005年8月13日 Stand Barにて

 今回の特別企画はオールドボトルを多数所有する、harazaki氏の提案によるもので、よく味が変わったといわれるオフィシャルスタンダードのシングルモルトを比較できる得がたい機会となりました。貴重なボトルを提供していただいたharazaki氏と、こころよく場所を提供したうえに、多数のグラスをサーブしていただいた、Stand Barマスターに深い感謝の意を表します。

 なお、テイスティング会は8月13日に開かれましたが、急用で参加できなくなった山崎白秋氏が8月18日に一人でテイスティングを行い、その結果を下記のノートに書いていただきました。いつも貴重な記録となるテイスティングノートを書いていただいている山崎白秋氏にも、この場で改めて御礼を申し上げます。

 ※テイスティングノート文中にはharazaki氏からいただいた、オールドボトルのデータを加えています。

惹樽



モルト会テイスティングノート(番外編)

2005.8.18 Stand Bar にて 山崎白秋記 

 番外編のお題は、「昔のモルトはおいしかったか?」である。昔のモルトは美味しかったね、などいう話題はよく聞かれる。ほんとにそうなのか?
 かつて私の手持ちのものを3蒸留所ブラインドテイストしたが、違いはほんのわずか、まったく違わないものもあった。4〜5年程度昔のボトリングではそれほどの違いはないと感じたものだ。

 そして今回のテイスティング。「ウイスキー」表示のものもあり、旧ボトルとしては申し分ない。 結論から言ってしまえば、確かに旧ボトルは出来がよかった。最近のスタンダードは雑味が多い。蒸留技術が落ちているとは思われないので、若いモルトを多くバッティングしているのであろうか。


 

[No.1-1] クラガンモア オフィシャルボトル 新ボトル 12年 40% (写真左)

(香り) 軽やかな香り。ややモルティー、麦芽風味、トースティー。ドライで酸味が感じられない。雑味を感じさせる。

(味) フルーティーかつドライ。味は単調である。


[No.1-2] クラガンモア オフィシャルボトル 旧ボトル 12年 40% (写真右)

(香り) 軽やかな香りのなかに熟成香を感じる。かるくフルーティー、かつ酸味がありバランスがよい。

(味) フルーティーで、熟成を感じる。ドライでフィニシュはそれほど長くは無い。加水すると極めてフルーティーとなる。

 あきらかに旧ボトルが美味いと感じる。

【旧ボトルデータ】
☆クラガンモア12年 750ml 40% 輸入業者徳岡 通称スペサイド表記
 80年代後半から90年代前半 (特級表記でないので89年以降か)ラベルが少し緑が買ったボトルのほうが古いもの。スペサイド表記がモルト表記となると新しいボトル。ヤフオクでは7-9千円



[No.2-1] トミントール オフィシャルボトル 新ボトル 10年 40% (写真左)

(香り)香水のような高貴な香り。酸味も心地よい。甘味を感じる。桃系のフルーツ。やや若さを感じる。

(味) 軽くジンジンと口を刺す。爽やかにフルーティー。

[No.2-2] トミントール オフィシャルボトル 旧ボトル 12年 43% (写真右)

(香り) 香水のような高貴な香り。酸味はやや弱い。キャラメル系の熟成香を感じる。

(味) 軽くジンジンと口を刺す。爽やかにフルーティー。

 熟成を感じられ、旧ボトルがやや美味いと感じる。

【旧ボトルデータ】
☆トミントール12年 750ml 43% 輸入業者サンリツ 90年後半?輸入業者の電話番号が東京の4桁、バーコードありなので、それほど古くないと思います。これが一番入手しやすいかな。ヤフオクでも5千円代。8年ものもあり。

 それにしても以前よりまったくうまいとは感じなかったトミントール、ビックネームの中でテイスティングしてもまったく遜色ないどころか、これがいちばん美味いとかんじた。



[No.3-1] グレンモーレンジ オフィシャルボトル 新ボトル 10年 40% (写真左)

(香り)ややひねた香り。暗い印象。軽く酸味を感じる。ややモルティ。

(味)フルーティー、フルーティー。

[No.3-1] グレンモーレンジ オフィシャルボトル 旧ボトル 10年 43% (写真右)

(香り)香りが立たない。ライト。

(味)フルーティーと酸味のバランス。しだいに爽やかに。

【旧ボトルデータ】
☆グレンモーレッジ10年 750ml 43% 野沢組
 通称10years表記 90年代前半から90年代中頃 裏ラベルが表ラベルと同じ色よりも白い物が古い。このボトルは木箱入りでした。特級表記がないこととボトルネックにウイスキー表記のシールがないところから90年代の前半か。ヤフオクでは7-9千円程度


 

[No4-1] グレンリベット オフィシャルボトル 新ボトル 12年 40% (写真左)

(香り) 爽やかで酸味が心地よい。ツンとフルーティー。ピッチの高い香り。次第にバニラの香りが立ってくる。さらにリンゴの香りも。

(味) 酸味は心地よいが、雑味も強い。焼酎系のアルコールを感じる。

[No.4-2] グレンリベット オフィシャルボトル 旧ボトル 12年 43% (写真中央)

(香り) ピートをまぶしたリンゴの香り。ややまったりとして甘い香り。

(味) シャープで酸味が心地よい。フルーティー。

【旧ボトルデータ】
☆グレンリベット12年 750ml 43% 富士貿易
 ラベルのアザミの花がリベットの表記よりも下 90年代中頃 リベットは頻繁にラベルが変わるので解りやすい。余り注目されていないせいかヤフオクにも出てこない。5−7千円。

[No.4-3] グレンリベット オフィシャルボトル 旧ボトル 12年 43% (写真右)

(香り) ひねている。まったりとしてフルーツ香が無い。ブレンデッドを思わせる香り。

(味) シャープで酸味が心地よい。フルーティー。きわめて爽やかで、味はたいへん美味い。

【旧ボトルデータ】
☆グレンリベット12年 750ml 43%
 並行輸入物?80年代中頃から90年代始め?提供させていただいたボトルはピュアシングルモルト表記 ヤフオクで1.5万円〜。古くなるとアンブレンデット表記。ヤフオクでは2万から。

 香りは新ボトルほどよいが、味はあきらかに旧ボトルがよい、トータルでは旧ボトルに軍配があがる。



[No.5-1] ダルモア オフィシャルボトル 新ボトル 12年 40% (写真左)

(香り) ひねている。硬質な香り。北ハイランドモルトの個性。爽やかさが無い。しだいに、モルティで粉っぽい香り。

(味) モルティー、砂糖水、アルコールを感じる。

[No.5-2] ダルモア オフィシャルボトル 旧ボトル 12年 43% (写真右)

(香り) 硬質でまったり。やや湿った印象。

(味) 甘味と酸味がバランスしている。さわやかで飲み口がよい。

【旧ボトルデータ】
☆ダルモア12年 750ml 43% 並行輸入?
  80年代後半〜90年代中頃?同じラベルのイタリア経由のボトルが楽天内でも購入可能。80年代前半はダンビーボトル ヤフオクでは8-12千円